上原 竜祐×福永 智之×三栖 繁人『しげや』ブランド談

歴史が証明する、木の家の底力

【三栖】私は北海道の釧路生まれで小さい時親父を亡くし、母親の再婚に伴い新しい親父に育てられ、
中学校までは一度も北海道を出る事も無く育ってきました。
野球が好きで親の応援もあり、高校は奈良の天理高校へと進学しました。
皆さんも御存じの通り、奈良には日本を代表する古建築や文化財が多数あります。
日本最古と言われる法隆寺(築1415年)や東大寺(築1267年)など、そんな奈良の建物に魅力を感じ休みの時は知らず知らずの間に古い建物や民家を見て歩くようになりました。
いつしか建築に携わる仕事に就きたいと思うようになり、高校を無事卒業し、北海道に帰り旭川にある建築の専門学校へ進学しました。
(ちなみに野球の事については触れないで下さい、あしからず。(笑))
その頃から一人前の大工になりいずれは棟梁として将来やって行く目標が出来、卒業後芦野組株式会社へ入社し今まで30年大工として頑張ってきました。

【上原】確かに奈良県や京都・滋賀がある近畿圏は、歴史的な木造建築物があちこちにある伝統的建造物群保存地区として、建物だけじゃなく日本の文化や生活様式を残していこうという考えがありますよね。その町すべてを若い世代に継承していこう、という。
近江八幡の京街道沿いや奈良県の今井町、京都などは、昔の町の雰囲気を求めてたくさんの観光客が訪れます。それは、街並みを形成している古い建物が文化的な背景を匂わせ、人を惹きつけるからだと思うんです。
本当の家創りは、流行り廃りとは正反対で、子や孫の代まで受け継がれるものだと感じています。歴史が息づく地域に住んでいる僕らが守るべき、日本の家。それが『しげや』ブランドのコンセプトなんです。

【三栖】北海道の建物と近畿圏の建物には大きな違いがあって、長年、北海道で建てさせてもらった建物は殆どが松や杉の木材なんですよ。近畿圏で手に入る桧や杉は殆ど北海道では手に入らないんです。
そのため北海道や北の地方では築何千年という神社・仏閣が殆どないんです。
荒川建設で建てられたお施主様達は本当に幸せだと思います。
何と言っても、東濃檜で家を建てられるのですから!!
高校時代に観て感動した奈良の建築物は殆どが東濃檜で建てられており何千年と経っても今もなお凛としてその姿を保ち続けているのですから!!

【上原】最近の家は、洋服みたいに流行りがありますよね。だから外観を見るだけで、いつ頃建てられたのか予想できます。
例えば昔スペイン風の屋根瓦が流行っていたことがありますが、スペインは雨の少ない地域。その地域の瓦を日本で使ってもいいことがないんですよね。日本には三州瓦や淡路瓦のように、四季のある国に最適な屋根材があるのに。

【福永】それは見栄えで客受けをよくして、数多く売るための建築会社側の都合ですね。
目先のカッコよさを売り物にしたほうが、メリットがあると判断しているんでしょう。
昔の家には土間がありましたし、その場に座れば時が止まったかのような手の込んだ和室がありましたよね!
軒数を求めるばかりに手間暇を省き建物を規格化すると、特徴のない似たような形の建物になってしまう。だから、現代の分譲地なんかは同じような建物が並ぶんです。

【三栖】私も荒川建設さんにお世話になり吉村棟梁の下で教わりましたが、最初の頃はビックリしましたよ。 現場に運び込まれる東濃檜の多さ、屋根のタル木や本物の無垢の床材。何と言ってもカウンター・机・テーブル・洗面台・本棚の棚板一枚に至るまで本物の木で造り上げていく醍醐味は、本当に大工になって良かったと実感しています。 確かに手間と時間は掛かりますが、規格型住宅を建てているかちわり大工では難しいですよね!
だから1軒1軒違う和の家が出来るんだと思います。

未来へ伝える、本物の技と心意気

【上原】建てる側の人間がそういった気持ちで建てていれば、すべてのお施主様が喜んでくださると思っています。ただ、今の時代それが古いと言われればそれまでです。確かに、現場で組み上げるだけのプレハブに、内壁のボードにクロスを貼るだけの仕上げなら、住める家を早く作ることはできる。でも、日本人が住む家がそれでいいんでしょうか。
先々代の時代から、素晴らしい技をもつ職人さんたちも跡取りがいないと嘆いていました。時代の流れで済ますにはあまりに惜しいので、手の良い職人さん達が次の時代へも引き継がれるような日本の住宅市場になることを願っています。
自然素材って、本当に健康にもいいんですよ!私は三栖さんの元で10年大工修行を積み、しげやの家の魅力を日々感じていました。もともと身体が弱かったのですが、自然素材と木の香りいっぱいの現場ですごく健康になりましたしね。今はしげやの広報として、たくさんの方にその素晴らしさを伝えたいと思っています。

【福永】ですよね!!私もこの業界で過ごして来ましたが、この先もずっと自分が本当に欲しいと思える物を提供したいとつくづく感じます。
お客様一人一人と長く付き合える『出入りの建築屋』でありたいと共感をもって語り合いたいと願っています。

【三栖】今、私は充実しています。
先代に続きお二人と一緒に仕事をさせて頂き、現場でお施主様と共に向き合って末長く住んで頂く家が建てられる事に・・・。
お施主様に感謝・感謝するばかりです。

【上原】縁あってこうして仕事をご一緒している多くの職人さんや業者さん、お施主様の応援があってこその『しげや』です。この『しげや』というブランドが他の工務店にも元気を与えるような存在になれればいいなと思っています。そして何より、「やっぱり家創りは楽しい!」って皆さんに感じていただきたいですね。そのお手伝いをできることに感謝しています。